- 作者: 本岡冬成,ゆーげん
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/05/18
- メディア: 文庫
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『──黄昏予報の時間です。本日午後の黄昏濃度は約八十パーセント、非常に濃くなる見通しです。発作的な自殺には注意しましょう。あなたは独りではありません。あなたの周りにはみんながいます。みんなの周りにはあなたがいます──』
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でも──。
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黄昏の空の下でだって、人はしぶとく生きているのだ。
青空の下でだって、人は惨めに死んだりするのだ。
荒事専門のなんでも屋を営むカラス.彼の受けた新しい依頼は,超長距離輸送列車《トワイライト》号から,《黄昏の君》と呼ばれる少女を奪取することだった.《黄昏》とは,かつての戦争でばらまかれた「毒」.自然浄化されることなく,時間をかけて世界中に拡散し,空を茜色に染めていた.
第 4 回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作.《黄昏》に満ちた 19 世紀ヨーロッパ風(かな?)世界を,手を取り合って逃走する男と女のロードノベル.旅のさなかに様々なことが起こり,様々なひとに出会いすれ違う.基本的に雰囲気中心の小説ではあるけど,世界観の作りと見せ方,なにより雰囲気そのものの出し方が抜群に面白い.終わりがあるともないともつかない,《黄昏の君》との超長距離輸送列車や自動車での旅は,どことなく『ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』を思い出させる感じのそれ.終盤の一言,「そういうストーリーでもいいんじゃないかって思っただけです」がすげー好きだ.中盤以降が少し冗長だったりと,気になる部分がないでもなかったけれど,そこを補って良かった.今後の活躍にも期待してます.