伊藤ジロー・土田太郎 『天使ラノベエルは働いたら負けと思ってる』 (メガミ文庫)

天使ラノベエルは働いたら負けと思ってる (メガミ文庫)

天使ラノベエルは働いたら負けと思ってる (メガミ文庫)

「そんなわけでネタ探しである! 学校ならばラノベのネタがゴロゴロしているはずなのじゃ。ラノベといえば学園もの、学園ものといえばラノベであるからな」
安易な発想だ。
「それで──事件はまだであるか? 校長はいつ殺される?」

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東兎子,通称ギコは幼なじみの男の子ヒメヤに密かに片想い中の女の子.ただ非常に非常に残念なことに,ヒメヤは重度のラノベオタだったのです.さらに悪いことに,ヒメヤの興味は,同人漫画家兼同人エロゲ作家兼ラノベ作家であるギコの姉に向いている様子.こうなったら自分もラノベを書いてヒメヤを振り向かせる! と決意したギコの前に天使ラノベエルがじゃじゃーんと現れた.
第 2 回メガミノベル大賞属性賞【天使賞】受賞作.「もし自分たちがライトノベルだったら」を行動原理に置くキャラクターたちがドタバタする,ライトノベルのためのライトノベル.かな? 幼なじみと姉へのコンプレックスから始まる導入は良さげだったのだけど,それ以降はどこかで見たギャグが繰り返されるばかりで正直だれた.ラノベエルが話を引っ掻き回すだけばかりで,キャラが一貫していないのも気になったところ.まあそれはそれとして,「ライトノベルはパンツである」という主張に関しては作中首尾一貫しており,わりと同意できる部分でもありました.