松山剛 『天才ハルカさんの生徒会戦争 帰ってきちゃった伝説の生徒会長』 (ガンガンノベルズ)

天才ハルカさんの生徒会戦争 (ガンガンノベルズ)

天才ハルカさんの生徒会戦争 (ガンガンノベルズ)

「本当のところ、会長はいったい何者なんだ?」
そこでハルカは立ち止まった。
ちょっと小首をかしげて、頬に手を当てた。考えているそぶりだ。
「うーん、たとえるなら……」
「たとえるなら?」
ハルカの人差し指にかかった寮の鍵がキラリと光った。
「……帰ってきたウルトラマン?」

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平凡を是とする高校生,斉藤真一郎の前に現れた謎の完璧美少女・桜楽坂ハルカ.傍若無人なハルカに巻き込まれ,真一郎と幼なじみの花村胡桃はあれよあれよと超エリート校である天壌宮学園に転校させられるハメになる.そこではなんと 1000 を超える数の生徒会が覇権をかけてバトルを繰り広げていた.
伝説の生徒会長桜楽坂ハルカの憂鬱.「どこかで見たような話」というのはいくらでもあるしそれなりに読んできたつもりなのだけど,これほどバックグラウンドが感じられない小説は初めて読んだかもしれない.ありふれたシチュエーション(だけ)を,必然性まったくなしにただつなげることで一本に仕立てあげるという.ラストの投げっぷりも見事.作者の既刊(代表作は『雨の日のアイリス』かな)や同人誌はわりと好きで読んでるし,内容にあまりにも心がなさすぎることを考えると,一種のラノベ批判の作品なのではないかとか,変な方向から勘ぐりたくなってしまう.まあ,書いてあることを素直に読んだら単なるクズでしかないのですが…….