オヤジギショウ 『病ミノ中ニ佇ンデ』 (ガンガンノベルズ)

病ミノ中ニ佇ンデ (ガンガンノベルズ)

病ミノ中ニ佇ンデ (ガンガンノベルズ)

「あなたは」
「何者なのか、という質問。そうですね……肩書きくらいは必要ですか」
再び、今度は口に出す前に台詞を奪われた。
気持ちが悪い、まるで、開いたままの手帳に台本でも書かれているみたいだ。
予知、予言、そんなものが存在するのならば、さしずめあれは未来を描いたシナリオ。
己の存在を誇示するかのように、彼はコートを翻す。
「私は代役の存在しない絶対者。名乗らせていただきましょう……『名探偵』と」

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第 1 回スクウェア・エニックスライトノベル大賞入選受賞作.なぜフィクションでは名探偵の行く先々で都合よく殺人が起こるのか? というよくある与太ネタから展開される「ダークサスペンス」.次々殺されてゆく登場人物たちは全員がどっかしら病んでいるというかヤンデレているというかむやみに濃い.バラバラ殺人,撲殺,使われる手管も様々でグログロ.テンポも非常によく,読んでる最中はただただ楽しい.こんな話なのだけど,いわゆる異能らしきものは使われないし,犯人のみならず,探偵もどこにいるのか分からないまま終盤へ進む展開もなかなかにスリルがある.良いエンターテイメントだと思いました.