秋口ぎぐる 『少女と嘘とボストン・バッグ』 (富士見ファンタジア文庫)

ララは下でおれを待っていた。ふたり、ならんで走った。おれは彼女の手をにぎりたかった。手をとりあって走りたかった。できなかった。

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修学旅行先のドイツで出会ったのはボストンバッグを探すマフィアの少女.彼女に惚れたふたりの高校生はある「嘘」をついて協力を申し出る.秋口ぎぐるのデビュー二作目.10 年以上前の作品だけどもそれほど古びた感じはしない.もともと『粛清プラトニック』のスピンオフ作品だったためか,細かい説明を削ぎ落として話が進む感覚があるのだけど,かえってシャープにまとめることに成功している印象のほうが強い.登場人物はそれぞれかなり無茶なことばかりやっているので感情移入はしにくいのだけど,不思議と読後感は悪くなかった.