田中啓文 『罪火大戦ジャン・ゴーレ I』 (早川書房)

罪火大戦ジャン・ゴーレ 1 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

罪火大戦ジャン・ゴーレ 1 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

「ひとつだけ言えることがあります。神は……人間など愛していません」

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西暦 2192 年,全世界で死者の復活が始まった.最終的に 600 億人が復活し,最後の審判の到来と神の実在を示すとされたこの事態に,旧来の国家体制は崩壊する.それから 20 年後,スリル博士の発明した〈魂摘出装置(ソウルトレイン)〉による魂の寄宿とテラフォーミングにより生き延びた〈人類圏〉は,エゾゲバロ・ログロ人を中心とする宇宙人との星間戦争に突入していた.
ドロドログチャグチャの世界において,実在が証明された「神」の真意はどこにある? ウンコやゲロや精液にまみれた,エンガチョなワイドスクリーン・バロック.しょうもない下ネタと駄洒落を確かな技量と知識で気持ち悪く描いた,非常に汚い嫌がらせのような一冊.連載中から物議を醸していたようですが詳しくは知りません.復活したジャンヌ・ダルク一休さんがアナルセックスしたり,〈人類圏〉の宣伝塔であるイエス(なぜかバカボンのパパ口調)は得意の手品を披露する(しかも失敗して死者が出る).全編に渡る恐るべき密度のギャグには圧倒される(ことごとくくだらない).本当に次の巻が出るのか心配,というかまともに終わる気がしないのだけど,私いつまでも待ちますわ.