中維 『探偵失格2 真神原伏ノ殉教殺人』 (電撃文庫)

探偵失格〈2〉真神原伏ノ殉教殺人 (電撃文庫)

探偵失格〈2〉真神原伏ノ殉教殺人 (電撃文庫)

「妹が懐いていたから大目に見てきたが、ここいらが限界だ。一般人(パンピー)は帰れ。さもなくば死ね。テメーは探偵失格だ」

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行方不明になったネコ先輩を追うべく,転法輪公爵の依頼に乗って帝国ホテルを訪れた“探偵失格”こと空野高.そこでは太刀花と真神原の結婚の儀が行われようとしていた.結婚式の警備をすることになった彼だったが,そこで事件が起こる.
和歌山のある旧家の千年にわたる思いが,帝都の帝国ホテルでひとつの決着をみる.お姉ちゃん好きの探偵失格の事件簿第二巻.全員が「犬」の名前を冠し,血とはまた違った違った絆でつながった一族,というのが良いなあ.事件に通り一遍とはすこし違った悲劇性を持たせている.ふざけた一人称の語りは,正直あまり読みやすいものではなく,目指すところはたぶん西尾維新なんだろうなあと思うのだけど,それにしては小手先で書いている感じがしないのがいいところだと思う.良く言えば全力,穿った見方をするといっぱいいっぱい,デビューしたころの井上堅二がこんな感じではなかったかしら.強いてひとにすすめる感じではないのだけど,個人的には嫌いになれない作品のひとつ.