小泊フユキ 『魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い』 (このライトノベルがすごい!文庫)

魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い (このライトノベルがすごい! 文庫)

「スプーンなんかとはなんだ、スプーンなんかとは。スプーンには刃も鋭い先端も、射出口もないんだ。敵ですら不用意に傷つけないものなんだぞ。スプーン天匙は人をすくう。匙を投げないっていう立派で強い信念があるところがいいんだ」

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ブロックス学園に通うブルンは,スプーンを使った魔法「スプーン天匙」の唯一の伝達者.どマイナーなスプーン天匙を知ってほしいと意気込むブルンは,間近に迫った闘宴会での活躍を目指す.
第4回『このライトノベルがすごい!』大賞,金賞&栗山千明賞の初のダブル受賞作.スプーンで人をすくうことを是とし,けっして匙を投げない信念を持つ「スプーン天匙」という魔法の伝達者を中心に描かれるファンタジー.どう見ても言葉遊びから生まれたのだろうと思いきや,読んでみると実はそうでもないことがわかる.なんというか,「信念」が先にあって,スプーンの形状がそこにフィットしたということなのね.まあ進行はかなり荒っぽい(予言でストーリーをコントロールしたり,闘宴会を強行する理由がわからんとか)のだけど,勝つことではなくすくうことを念頭に置いた物語にぶれはない.個人的にこういう話が好きなんで甘くなってるのもあると思うけどね.