藤瀬雅輝 『非モテの呪いで俺の彼女が大変なことに』 (このライトノベルがすごい!文庫)

非モテの呪いで俺の彼女が大変なことに (このライトノベルがすごい! 文庫)

非モテの呪いで俺の彼女が大変なことに (このライトノベルがすごい! 文庫)

「なるほどね、『試みの一週間』の間、《蓼》がなにを思っても呪いの成就には関係ないという理屈、ようやく実感できました。この呪い、試されるのはひたすら《蓼食う虫》の側だ。つくづく嫌らしい」

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ある日,自分の恋心を自覚した宮岡貫平は,クラスメイトの那須谷繭香に告白し,みごと彼氏彼女の関係になる.だが,この学園にはカップルに対して発動する「非モテの呪い」が伝わっていた.ふたりは呪いという試練を越えることができるか.
第4回『このライトノベルがすごい!』大賞優秀賞受賞作.週に一回の「呪い」というシステムがどのような形で発動するか,いかにして発動者を見つけ出すか.そして,「呪い」が発動してしまったラブラブなふたりはカップルとしてどう考え行動するのか.それぞれの章がフーダニットな短篇の趣.単にルールにそって正攻法で解消を図るだけでなく,「呪い」そのものを防ぐためにはどうすべきか,というシステム面にも言及しているのが良かった.第四章は××にしなくても良かったんじゃとも思ったけど,××にしないとストーリーをドロドロさせる必要がありそう(ドロドロしてしまう,ではなくドロドロさせる必要がある)だし,こんなあっさり〆ることも出来なかっただろうしこれでよかったのかな.どっちにしろドロドロした話にすることは可能だと思うけど,作者は男女のドロドロを描くことにはあまり興味なさそうではある.面白かったです.これは続きなり新作なり期待したい.しかし,タイトルだけはなんとかならなかったものか.ご縁がなかったら手にとることはなかったと思うぞ.