長谷川也 『セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常』 (このライトノベルがすごい!文庫)

セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)

セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)

これからみなさんは、彼女たちが動き、話し、笑い、怒り、荒れ狂う様を、ただ眺めることになります。しかしだからと言って、これが眠気を誘うような退屈なお芝居かというと(もちろんその判断はみなさんの感性に委ねられるわけですが)少なくとも、ぼくはそうは思いません。日常を切り取っただけだから緩慢で生ぬるいとか、刺激がなくてつまらないとか、そういった先入観は我々には当てはまりません。それは『中学生』というものをまったく誤解した発想です。中学生とは、それだけでとてもスリルに満ちた生き物なのです。
針のように尖った、過剰な自意識を振り回して、お互いに致命傷にならない程度に、チクチク細かく傷つけあっている――それがぼくたち中学生の偽らざる日常です。決してほのぼのと、見ていて和めるようなものではありません。そても過激で陰湿な、一種の戦場なのです。

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中学デビューに失敗し,クラスでほぼぼっちのカキタニ・カイリ少年.自分を変えたいと門を叩いた「演劇部」で,彼は5人の先輩美少女と日常を過ごすのだった.
第4回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作.非常に大仰な「序幕」に期待したのだけど,ライトノベルとしてはわりあい普通の日常話だと思う.テンションが高いわりにギャグのキレが悪い,というかネタをやけに引っ張るものだから,やりとりがだらだらしているように感じてしまう.ページ数のわりに必要以上に長く感じて,読んでるうちにテンションが下がってしまう.二巻以降で「序幕」が回収される可能性はあるかもしれないけど,この時点ではちょっとなあ.