小川一水 『天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART1』 (ハヤカワ文庫JA)

泣き出してしまった。羨望と、同時に安堵で、だ。人類は滅んでいなかった。自分たちは何もかもを破壊してしまったわけではなかったのだ。太陽系にはまだオアシスが残っていた。

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仕方ない。もう猶予はない。
教えてやろう――私は、死んでもあなたたちを失いたくない、って。

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長い冷凍睡眠から目覚めさせられたイサリは妹のミヒルと久しぶりの対面を果たす.人類への恨みを募らせるミヒルと人類との融和を望むイサリ.しかし,人類はまだ絶滅していなかった.
シリーズ一巻の「メニー・メニー・シープ」(感想)とほぼ対になる(と思われる)八巻.どう見てもバッドエンドだった「メニー・メニー・シープ」のその後と,その裏側で起こっていることを人類と敵対する《救世群》(プラクティス)イサリの目から描いている.「メニー・メニー・シープ」の解決篇・プラスアルファという感じだと思うのだけど,ここまで積み重ねられたいろんなあれやこれやが,ドラマチックに結実しようとしている.これは一巻を読み返したくなるね.続きを待ちます.