鈴木大輔 『文句の付けようがないラブコメ 3』 (ダッシュエックス文庫)

世の中の摂理に背を向けての逃避行が、九十九機関を相手取っての反逆が、こんな間の抜けたものでいいのだろうか?
無論よいのである。
むしろラブコメでなければならない。神鳴沢世界をここまで連れてきたからには、そうあらねばならない。
でなければ、何のためにリスクを冒したのかわからないではないか。
むしろもっと当たり前に、空気を吸うごとくラブコメができるように。なんの憂いもなく馬鹿らしいやり取りができるように。そういう方向に舵取りしなければ。
今度こそ勝ち取らねば。

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再生された世界でも,あたかも運命のように惹かれ合う優樹と世界.九十九機関からの逃避行の果て.ある港町で,ふたりはささやか願いを叶えようとする.
見事に何も解決しない.前後篇の後篇とはなんだったのか,という.ガチガチで希望のない状況説明と,その状況を打破するためのいくらかのヒントを散りばめつつ,「文句の付けようがないラブコメ」とその終焉が描かれてゆく.ループというか,停滞とも言えるか.雰囲気はきらいじゃないけど,さすがに話が進まなすぎるし飽きもくる.次あたりで何らかの進展がありますように.