みかみてれん 『滅びゆく世界を救うために必要な俺以外の主人公の数を求めよ』 (スニーカー文庫)

直後、手が空振りした。
「あれ?」
違う。
俺の手首から先がない。
「――」
血が吹き飛び、海に混ざる。
斬り飛ばされたんだと気づいた頃には、もうなにもかもが遅い。
男の姿は見えない。視界は真っ赤だった。
言葉を叫ぶこともできなかったのは、喉が斬り裂かれていたからだと知った。

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現代日本と異世界を行き来できる力を手に入れた元会社員のジンは,現代から異世界に転生した少女,リルネの護衛を請け負うことになる.リルネの15歳の誕生日の夜.ひとりの来訪者によって,街が壊滅する.
カクヨムで発表された同名作品の書籍化.転生した魔法少女と,特に転生してないけど行き来ができる無職と,異世界の魔女と.いわゆる異世界転生ものとしては,オーソドックスな構成,なのかな? 章ごとのシリアスとコメディの温度差がけっこう大きくて変化が唐突だと感じる.漫画だと違和感が少ないんだけど,小説になるとどうしても気になってしまう.
トーリーはまさにプロローグというか導入というか.「主人公(メサイア)」という言葉も思わせぶりに出てくるだけだし,意味が説明されることもないし,そもそも「滅びゆく世界」を感じさせる部分もあまりない.連載小説らしい,大きな物語の予感は感じられるし,説明しすぎないのは個人的にはいいと思うのだけど,現時点では引きも弱いかなあ.このあたり,とりあえずWeb版を読んで判断できるのは現代の良いところかもしれないですね.