川岸殴魚 『編集長殺し2』 （ガガガ文庫）

編集長殺し 2 (ガガガ文庫)

人見知りの方はせっかく打ち解けても、時間が経つと元に戻る機能があると聞いたことがあります。コアを破壊されない限り何度でも蘇るボスキャラのような……。

中学館のライトノベルレーベル，ギギギ文庫の編集長は金髪ツインテールのドS幼女です．配属一年目の川田は，中学生の頃から読んでいたある小説家を担当することになります．緊張で小説家と初打ち合わせに臨んだ川田でしたが，そこには夢を打ち砕く現実が待ち受けておりました．

「ほぼほぼ美少女しかいない」と言われているライトノベル編集部を描く．オブラートに包んでいるようで，あまり包んでいない，甘くないライトノベル業界事情．ギャグの切れはいつもどおり．酒や領収書がやたら飛び交うので大人向けと言えるかもしれない．赤裸々に語られるガガガ文庫……ではない，ギギギ文庫の事情に妙にリアリティがあるので，ただのコメディと笑って見過ごせない雰囲気がある．まあ気にすることはないんだけどね．お気軽でしっかり笑える，楽しい業界ものだと思います．