氷桃甘雪 『六人の赤ずきんは今夜食べられる』 (ガガガ文庫)

六人の赤ずきんは今夜食べられる (ガガガ文庫)

六人の赤ずきんは今夜食べられる (ガガガ文庫)

「そんな狼などいるはずが――」

「いるんですよ。現に、ここに」

枯れ木を思わせる老人から強い言葉が飛び出した。

「名は――『ジェヴォーダンの獣』」

とある村に猟師が流れ着いた.村の者が言うには,ここの森には「赤ずきん」が住んでいて,他では手に入れられない秘薬を作ってくれるのだという.そして年に一度,赤い月の夜には巨大なオオカミの化け物が現れ,赤ずきんたちを喰い殺してしまうのだと.猟師はとある思いから六人の赤ずきんを救おうとする.

赤い月を背に迫りくるジェヴォーダンの獣,追い詰められる猟師と六人の赤ずきん.この中に裏切り者がいる.第12回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞.おとぎ話を下敷きにした,ダークな「パニックホラー×ナゾトキ」.人狼チックなパニックホラーとしてさらっと読める.体長数メートルの巨大なオオカミ,というスケールがパニックホラー的なリアリティを感じさせるものになっていると思う.手堅くまとまっていたと思います.