- 作者:手代木正太郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2020/01/17
- メディア: Kindle版
今は自分はひとりぼっちだけど、どこかで誰かとつながっている。
「何かがあったら」駆けつけてくれる誰かがきっといる。そう信じていた。
その日――二〇一一年三月十一日、十四時四十六分。その「何か」が起こった。
とある夏の夜.虫を探して山を歩いていた凪は,ホタルのように体を光らせる少女に出会う.
東北のとある町を舞台にした「ヒトと虫の魂が織りなす、とある青春の物語」.「ありんこ」こと有吉羽汰と,引っ込み思案の虫好き少女,姫宮凪の,不器用な青春未満の関係を描くシリーズの第二巻.しみじみとよかった.基本的に後ろ向きで,どこかを向くだけでもエネルギーを使うようなふたりではあるけれど,それぞれ着実に進んでいるのが見て取れる.出番は多くないのだけど,大人に存在感があるのもいい.自分と他人の「同じ」部分につながりを求めるのではなく,圧倒的に多い「違い」につながりを見い出すんだ,というアドバイスは,大人の自分にも感じ入るものがあった.前シリーズとは対照的な印象の作品ではありますが,同じように傑作になる予感がひしひししております.
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