谷山走太 『ピンポンラバー3』 (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (3) (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (3) (ガガガ文庫)

敗北は誰のせいでもない。全部自分が未熟だったせいだ。

いつだって敗者にできることは二つ。抗うか、諦めるか。

だったらやることは決まっている。悔しさを糧に、努力を続けるしかない。次の勝利に繋げるために。そうすればきっと、あの敗北も必要だったと思えるときが来る。それだけを信じて。

季節は8月.翔星,瑠璃,椿の三人は全日本ユース選抜強化合宿に参加する.そこで翔星は,小学生の頃のライバルにしてインターハイ覇者の千波晴海と再会する.翔星がリハビリをしている間に晴海は大きく先に進んでいた.合宿最終日に発表される中国遠征メンバーの座を賭けて,幼なじみふたりは正面からぶつかりあう.

復活した『音速の鳥』(ソニックバード)に立ちはだかるインターハイ覇者『千技の使い手』(サウザンド・スキル),そしてその陰にあったもの.強豪が集った合宿の様子を描く第三巻.夏の強化合宿にライバルとの再会,さらなる強敵の出現と,熱血スポ根を王道で突き進む.卓球の楽しさを,そして試合の迫力と熱狂を,ここまでの熱量で描ける作家はジャンルを問わずともそうそういないはず.ただ,今回で少年マンガ的な部分が増えたというか,パワーインフレとある種のご都合主義が急速に進んだ印象があったのは気になった.リアリティレベルとケレン味のバランスは二巻までのほうが取れていたように思う.引き続き追いかけていきたいと思います.