かつび圭尚 『問一、永遠の愛を証明せよ。ヒロイン補正はないものとする。』 (MF文庫J)

過程なんて関係ないんじゃないのかよ。結果が全てじゃなかったのかよ。そのためならなんでもするんじゃなかったのかよ。

矛盾している。

だけど、その矛盾こそが愛なのだろう。自分の美学から外れてしまうのに、どう考えても非合理的なのに、一目瞭然で間違っているのに。どうしても無視できない。コントロールできない。そんな感情が、ぐるぐる渦巻いてるんだろ。分かるよ。

その日、僕は両片想いの後輩に告白するつもりだった。かつて付き合って別れた彼女、朱鷺羽美凪の妹、朱鷺羽凪沙に。ラブレターを手に屋上へ向かおうとしていた僕は、「おくぴど様」の主催する恋心を巡るゲームに巻き込まれる。

恋と記憶を賭けたゲーム、「コクハクカルテット」。四人の高校生はバラバラの恋心を胸に、否応なしに巻き込まれてゆく。第17回MF文庫Jライトノベル新人賞、審査員特別賞受賞作。「さあ、ゲームを始めよう」から始まる、特殊設定ラブストーリー、とでも言うのかな。個性の強い四人(+α)の恋と「永遠の愛」へのスタンスを、じっくりとミステリアスに描いている。「永遠の愛なんて存在しない」と繰り返す主人公の「面倒くささ」と、甘かったり苦かったりの味覚が想起される恋の思い出が、いやでも印象に残った。個性と同時にアクの強い物語になっていたと思う。続編もすでに予定されているとのことで、楽しみにしてます。