カミツキレイニー 『魔女と猟犬4』 (ガガガ文庫)

「さて、ね。君たち異端尋問官はイタズラの可能性もあると考えているようだが、領主やゲオーグ氏はそうは思っていないようだった。この温度差は気になる。四年前に捕らわれた“お菓子の魔女”と、今回の森の中で目撃された“魔女X”――果たしてこれらは同一人物課、否か」

そこでお尋ねしたいんだが、とリオは改めて農婦たちへ向き直った。

「あなた方はご存知か? “とんがり帽子のフランツィスカ”を」

のちに“ワラの十三か月”と呼ばれることになる大飢饉のさなかのある日。貧しい村エイドルホルンの粉挽き屋の娘、“とんがり帽子のフランツィスカ”が家畜をお菓子に変えてしまうという魔女災害が発生する。それから四年。処刑されたはずの“お菓子の魔女”が森の中で目撃されたとの情報が流れる。真偽の調査のため、アメリアよりエイドルホルンに、四人の異端尋問官と記録係の宮廷詩人が派遣される。

噂によると四年前に火刑にしたはずの魔女が復活したという。果たして“魔女X”とは本当に復活した“お菓子の魔女”こと“とんがり帽子のフランツィスカ”なのだろうか。四年前の大飢饉と魔女災害に端を発する、愛と復讐の物語。神はなぜヒトを救ってくれないのか、神の愛は存在するのか、ヒトにとって神とは何か、愛とは何か。ダークファンタジーの王道をブレずに進みつつ、“魔女X”の正体をめぐるミステリでもあったシリーズ第四巻。最高に良かった。一巻ごとに右肩上がりで完成度が上がって、どんどん面白くなっている。もう傑作と言ってもいいのではないでしょうか。