二語十 『探偵はもう、死んでいる。9』 (MF文庫J)

「多分あなたがその気になればどんな兵器にも負けないし、どんな生物にも屈しない。でも、この世界それ自体には敵わない

ああ、その通り。吸血鬼は滅ぶべき存在である――この世界がそう決めた以上、どうやってもオレたちは敵わない。いつかは必ず敗北する。

世界の危機を救うべく、再び名探偵の助手となった君塚君彦は、全人類から失われた記憶を引き続き検証していた。これは、消耗品として産み出され、短命を運命づけられた吸血鬼一族の呪いの記憶。

三十年の寿命を運命づけられた《吸血鬼》の王は世界に抗う。失われた真実に《名探偵》と助手が立ち向かうシリーズ第九巻。同族を狩る《吸血鬼》の謎を中心に置きつつ、ケレン味と勢いで引っ張った感があった。全人類の記憶を書き換えた、いまのこの世界を創造したのは何者なのか。良くも悪くもとっ散らかっているけど、最後まで走り切ってほしい。