明治サブ 『腕を失くした璃々栖 弐 ~明治悪魔祓師異譚~』 (スニーカー文庫)

(【二面二臂のアグニ・十二天の一・炎の化身たる火天よ】)

百倍化した脳内での、高速詠唱。百丁の村田銃の銃口に、火天の曼荼羅が立ち現れる。

(【神に似たる者・大天使聖ミカヱルよ・清き炎で悪しき魔を祓い給え】)。

続いて、生命樹(セフィロト)が立ち現れ、ミカヱルが守護する(ティファレト)のセフィラと、火点の曼荼羅が合一する。

明治36年、日露戦争前夜。毘比白(ベヒヰモス)の遺した移動要塞を起動するため、少年悪魔祓師(エクソシスト)皆無と大悪魔璃々栖(リリス)、十二聖人のひとり神威中将の三人は、物理(アッシャー)界と(アストラル)界をまたぐ旅に出る。目指すのは璃々栖(リリス)の祖国、旧亜栖魔台(アスモデウス)王国。

時代の変わり目に差し掛かる明治、神戸から始まる悪魔祓師(エクソシスト)譚、第弐巻。聖帝睦仁やら十二聖人やらさらなるおねショタやら、最初からなんか出し惜しみなしで突っ込んでくるな……と思ったら、あとがきで「参巻は出ません」とのこと。明治時代の神戸という、せっかくの魅力的な舞台も今回は活かすことができず、風呂敷を広げて畳むだけになってしまった感がある。もったいなかった。いつの日かリベンジされることを期待しています。