折口良乃 『九罰の悪魔召喚術』 (電撃文庫)

九罰の悪魔召喚術 (電撃文庫)

九罰の悪魔召喚術 (電撃文庫)

十字架の上を見上げれば、CGで構成されたステンドグラス、極薄液晶に映しだされた様々な聖人たちの絵。その絵は紙芝居のようにゆっくりと移り変わり、聖人たちの物語を語っていく。さながらそれは、一つの巨大な万華鏡のごとく。
究極の神聖を体現したその場所は。
主の作りたもう、永劫の楽園に他ならず。

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江戸時代.天草四郎率いるキリシタンがスペイン,オランダ,ポルトガルなど諸国の助力を取り付け,幕府軍を打破したことにより,現代日本は世界でも有数の,そして独特の景教観を持つ宗教国家として発展していた.
宗教や教会になんとなくなじめない少年のもとにやってきたのは悪魔の押しかけ女房,さらにそれを追うエクソシストであった.ストーリーラインは学園異能だと思うんだけど,架空の「景教国家日本」の描き方がすごく面白い.ゴシックというかパンクというか,実在のものを単に乗っけただけとも違う.少しいびつな感じを気負わず説明しすぎず,日常に自然に乗せて描いているのが良い.「悪魔」とエクソシストの存在やストーリーの容赦なさも,この日常描写あればこそか,むちゃくちゃ映えていた.楽しゅうございました.続きも読むよ.