「確かに、
神域 スキルが発芽したときは結構限界で、一つのことしか考えられなかったかも。残業を発生させる全てのモノをぶっとばしてやりたいって」レベッカが満足そうに頷く。
「そうじゃ。願いとはすなわち信念。それを見いだすことは高尚な儀式でもあり、だから残業をぶっとばすのも…………え? なんて? 残業??」
三日間の「長期」休暇を終え、通常業務に戻ったアリナを待っていたのは、年に一度の冒険者ランク査定。ろくに文字も読めない、書類も書けない荒くれ冒険者たちが、己の翌年の稼ぎをかけて怒涛のごとく押し寄せる。今年はアリナたちのクエストカウンターでも査定の受付をせよとのお達しが下る。
休暇を終えて当然のように襲来する事務仕事と残業。世界の傍観者たる四聖。世界の破壊を望む者。ギルドの業務改善を阻む者。“願い”。シリアスな事実が次々と明かされ、さらにラブコメ味もぐっと増したシリーズ第七巻。スキルの発芽条件「ひとつのことを強く願い続けられる」という才能に説得力があるのも、ここまで描かれてきたアリナの性格の一貫性あればこそだと思う。これぞキャラクター小説。満を持して揃った四聖がやけに小物というか噛ませっぽいのが気になったかなあ。