紫苑は、脳内で言葉を送った。
僕の心を救ってくれてありがとう。
こんな僕を認めてくれてありがとう。
だけど――僕のために死ぬがいい。
44回目のゲーム、〈クラウディビーチ〉を乗り越えた幽鬼は、同時期に行われたゲームで参加者の大半が殺害される惨事が発生したことを知らされる。「殺人鬼」は両腕に刺青を入れていたという情報を元に、幽鬼は真相を探るべく行動する。
45回目のゲーム、〈ハロウィンナイト〉、そして幽鬼に迫りつつあるゲームプレイヤーとしての刻限を描いた第四巻。生きるのに向いていなかった少女たちが、改めて人生をやるということ。夜間学校にも通っているし、部屋も片付いた。己の力の見極めも高いレベルでできるようになった。「人間、力の注ぎ先が見つかれば安定する」という師匠の言葉と、それを裏付ける幽鬼ゲーム内外での安定と成長が、心強くもあり重くもある。さらっと読もうと思えば読めるデスゲームものであるのだけど、その裏には様々な闇や光が詰め込まれている。巻を重ねるごとにバックグラウンドの厚みが増して面白くなってゆく、エンターテインメントの鑑のような作品だと思う。