「けどね。それはクロス君に無理矢理変われって言ってるわけじゃないんだ~。相手のことを気遣える優しいクロス君は、相手の嫌がる立ち回りや戦法も十分に察することができるはずだから~。一線を越えるきっかけさえアレば、クロス君はきっと優しいまま“邪法”を使える」
貴族を退けた《無職》の噂は街中に響き渡り、クロスはかつてない世間の注目を浴びていた。折よく今は「喧嘩祭り」の時期。冒険者たちの街特有の祭が盛り上がるなか、クロスは上級貴族からのスカウトを断ってしまう。
従前の予想通り、力では避けられない、人間同士の争いに巻き込まれるクロス君。男の子の意地を見せるの巻。ストーリーは引き続きシンプルで、良くも悪くもわかりやすい。いかにもゲーム的なスキル描写が、クロス君の異様さと素直さを際立たせる方向に効いていた……のかな。