「ドスケベ催眠術師は私」
淡々とした口調、だけど、力強く。
「それを認めて」
無表情だけど、怒っているようで、悲しむようで、誇るようで。
「その賛辞も、非難も、軽蔑も、すべて私のもの」
二代目ドスケベ催眠術師、片桐真友。転校してくると同時にクラスを混乱に陥れた彼女は、佐治沙慈にとって悪夢そのものだった。なぜなら、彼の父こそが初代ドスケベ催眠術師だったから。サジは片桐に、自分にかけられた詳細不明の催眠術を解くのに協力してほしいと頼まれる。
最高のドスケベ催眠術師を目指す二代目ドスケベ催眠術師の少女と、初代ドスケベ催眠術師たる父への確執を抱えたドスケベ催眠術師の子。同級生たちの青春の悩みをドスケベ催眠術を駆使して解決し、ふたりが本当の仲間になるまで。第17回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。タイトルはこんなだけど、青春小説に必要なものがすべて揃っている。
作者本人もTweetしていたと思うけど、非常に読みやすいのも良い。ストーリーにフックが足りない気がしつつも、最後までするすると読める流れるようなテキストとキャラクター造形は本物だと思った。続きでどう出るか、楽しみにしております。