アバタロー 『クズレス・オブリージュ 18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい』 (スニーカー文庫)

案内され、部屋の前に立つ。

扉の向こう側からは、談笑する声が聞こえた。おそらく、俺と同じような貴族のバカ息子のたまり場なのだろう。

つらい。なぜ地味に生きたいだけなのに、キラキラのうるさい場所を逃れられたと思いきや、こんな遊び場に連れてこられなきゃいけないのか。

気がつくと俺は18禁ゲームの世界に転生していた。このゲーム最大の嫌われ者にして噛ませ犬の中ボス。このままストーリーのとおりなら、数年後に主人公に出会い殺される運命が待っている。こうなったら原作知識を生かして人生の路線変更をするしかない。

第8回カクヨムWeb小説コンテスト異世界ファンタジー部門特別賞&ComicWalker漫画賞受賞。才能に恵まれ、努力せず増長したまま死ぬ運命だったクズの中ボスは、善良なモブになって生き残る道を模索する。この手のWeb小説にはよくあることだけど、異世界ファンタジーというより、ゲームのリプレイを読んでいるような感覚だった。テンポの良いコメディ調だけど締めるべきところは締める。軽快で嫌味のないテキストが案外読みやすい。今のところ18禁ゲームである必然性がないのはまあ良し悪し。安定して楽しかったです。