fudaraku 『竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る』 (メディアワークス文庫)

「いいですか、間もなくおかとときがこの屋敷にやって来ます。この先どんなことが起きても、絶対に声をあげてはいけません。おかとときの興を殺ぐことだけは絶対にしてはなりません。わたくしの隣で毅然としていてください。よござんすね」

明治時代も終わりの頃。病死した父の商売を継ぐため、東京から金沢にひとりの少女がやってくる。二代目「竜胆」を襲名した少女は、「おかととき」という怪異を夜な夜な「遊び」でもてなすことを求められる。

第30回電撃小説大賞大賞受賞作。おかとときとは何者なのか? 父は娘にも知らせずなぜこのような商売をしていたのか? 明治末期の陰惨なホラーファンタジー。何らかの仕掛けが施されていることは読んでいてすぐに気づくはず。よくある……いや、ミステリでもホラーでもかえってあまり無い仕掛けなのかな? 容赦のない、静かで美しい描写があまりに心を抉ってくれる。しかし、内容に触れずに語るのが難しい。帯に曰く「物語は、三度、進化する」。騙されたと思って読んでみるといい。