海山蒼介 『隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる』 (スニーカー文庫)

これは、互いが互いを誤解し合い、己で創り出してしまった勘違いに振り回されていく……。

空想を知らない少年と、空想に溺れた少女の話である――。

闇の世界に生きてきた暗殺者、黒木猫丸は、最強の殺し屋『紅竜(レッドドラゴン)』が潜入する高校に編入する。それは共同生活を送ったことのない猫丸を高校に通わせようという父の冗談混じりの配慮だったのだが、『紅竜(レッドドラゴン)』を自称する中二病娘、竜姫紅音が同じクラスにいたからさあ大変。

裏社会に憧れる中二病女子と、本物の裏社会に生きる主人公。出会ってはいけないふたりが邂逅する。第27回スニーカー大賞特別賞受賞の、令和最新のすれ違いラブコメ。ノリとしては平成のラブコメに近いが。暗殺者なのにこんなずれている高校生(ですらない主人公)いるか? というそもそもの前提が受け入れられないと厳しいかもしれない。個人的には最後の幕間が良かったので読む価値があった。頭空っぽにして、広い心で読みましょう。