「――君は、いつまで自分をドスケベ催眠術師の子にするつもりだったの?」
暗に問われる。いつまでしがらみにとらわれるのか、と。
ドスケベ催眠術師の子、佐治沙慈は学校で甕川水連と再開する。スクールカウンセラーにして、ドスケベ催眠術師のサポーター、そしてかつて沙慈の近所に住んでいたお姉さん。時を同じくして、校内でドスケベ催眠アプリを悪用した辻ドスケベ催眠事件が勃発する。
容疑者しかいない辻ドスケベ催眠事件の真相を追う第二巻。君は、いつまでドスケベ催眠術師の子でいるの? 「ドスケベ催眠術師の子」という呪いを背負い、ドスケベ催眠術師との関わりをすべて断ち切ろうと生きてきた沙慈のアイデンティティの物語であった。単語のチョイスと、バランスの取れたストーリーテリングでとぼけた印象を漂わすも、思ったよりも根が深い。一巻同様、ふざけたタイトルに似つかわしくない、成長と青春をしっかり書いたテクニカルな小説だと思います。
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