髙村資本 『恋は双子で割り切れない6』 (電撃文庫)

絵の具を垂らしたみたいに街灯が丸く滲んで、瞬きと同時に形を取り戻す。世界はこの繰り返しだ。次第に境界がぼやけていって、気付けばエンティティが確立される。狭隘で小さな、半径数メートルの世界で私達は出会って、恋をして、敗れて、また恋をした。これを成長と名付けるならば、私達は成長しなければいけない時期を迎えたのだろう――だから、鳴箭を射った琉実に続いて私も行動した。結果はどうであれ、一つの区切りは付いた。

晴れて恋人同士になったふたり。そして選ばれなかったわたし。大切な家族と、大好きだった幼なじみの関係は決定的に変わってしまった。それでも人間関係は続いていく。文化祭が近づきつつあった。

でも、まだ先に進まなきゃいけない――歩き始めてしまったから。

カップル成立と失恋が確定した五巻の、その後の話。わりと性欲を全面に押し出しつつも、家庭環境の描き方と、古今のフィクション・ノンフィクションを引用したしゃらくさい語りからひねり出される理屈で、ストーリーをコントロールすることに成功していたと思う。いつの間にかえらい辣腕作家になっていたものだと驚いた。そうだよなあ、ラブコメであろうがなかろうが、恋に決着がつこうが、その後の人生はあるんだよな、という納得感があった。このしゃらくささと性欲はアニメでちゃんと描けているのかしら。最後まで追いかけます。



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