「でも、優しくて真面目な奴って、小説書くの向いてないよ」
「そうなの?」
「そうだよ。小説って、性格悪くて、穿った物の見方する奴が書くから面白いんだよ。少なくとも私はそういう書き手の書くものを面白いと感じる。普通の人とは違う視点や発想に面白さを感じる……」
人類の住めなくなった地球を離れ、安住の星を求めて旅するワタリとリドリーの星間漂流記、第二巻。なんか、全体的に底意地の悪い短編が多くない? クソな小説に対して「読めるゴミ」って表現すごいな。……という違和感への回答であり、色んな意味で今回の本を象徴していた「書の星」。忙しいひとのための「まだ人間じゃない」こと「勲の星」。田中啓文や牧野修を思わせるグロテスクな「子の星」。クソバカ百合SF、と呼ぶのがしっくりくる「白の星」。衝撃の実話(作者がTwitterで実話だと言っていたから実話なんだろう)が語られるあとがきが好みでした。今どきの出版事情では難しいのかもしれないけど、のんびり長く続いてほしいタイプの短編集だなあと思っています。
kanadai.hatenablog.jp