西村悠 『二四〇九階の彼女』 (電撃文庫)

二四〇九階の彼女 (電撃文庫)

二四〇九階の彼女 (電撃文庫)

昨日に引き続きなんかデジャヴった.
基本的に接点の無い短編を「塔の中の階層世界」という設定を付加させただけで,強引に並べたてたような印象があった.それぞれの短編は肯けるところはあるんだけど,大きな流れというか主張というか,全体を総括するものが見えなかった気がする.短編小説賞受賞作だからかもしれないけど,だったら無理に連作にせず,純粋に短編集として勝負した方が良いものになってた気がする.
個人的な好みを言わせてもらうと,細かい違和感がいっぱいあっていまいち楽しめなかった.例えばp.257 の【完全】に対する考え方.作劇上の欺瞞にしか思えない.どの話にもいちいち閉塞感が漂っているのも気になった.着地点の見えない閉塞は読んでてきついよ.
あとこれはどうでもいいことだけど,カエルの声が 若本規夫 中嶋悟に勝手に脳内変換されて参った.語り口調に土永さんの姿が被った.