『ふたり。 新風舎文庫大賞短編アンソロジー』 (新風舎文庫)

ふたり。―新風舎文庫大賞短編アンソロジー

ふたり。―新風舎文庫大賞短編アンソロジー

日日日以外の作家は初読,というかはじめて名前を知ったひとばかり.Amazon のおすすめに並んでなかったら発売していたことに気づかなかったと思う.これがロングテールというやつか.

日日日 『夜汽車の骸骨』

うーん.長編のプロットからいろいろなものを削り取って無理やり短編にまとめたような継ぎ接ぎ感.なんとか雰囲気で読ませようとしているけど,私の大好きな日日日文体がこの作品に関しては明らかにミスマッチ.何がしたいのかよくわからない.ぶっちゃけ失敗作では?

岩月杏祐美 『オレンジリング』

       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ

そんなオチかよ! 着想は面白いし展開もなかなか.けどラストは良くも悪くも若干斜め上.呆れ半分感心半分.でもこのアンソロジー中ではいちばん好きかも.

北沢志貴 『みにくいおんなのこ』

星新一のテイストがある,と好意的にみれば言えなくも無いけど,全てが未熟.まずは『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』あたりでコンプレックスの描き方を勉強してみるのはどうか.作者はまだ20歳なんだし.

小早川恵美 『手紙と花火と少年の夏』

この中ではいちばんキャリアがあるのかな? 手堅い.台詞が説明くさいけどそう気になるものでもなかった.むしろ作者(講談社X文庫ホワイトハート出身)の作風が合うか合わないかが大きいと思う.まあそんな露骨じゃないけど.

松村比呂美 『マニキュア』

前半の伏線が弱い.おかげで後半の展開が唐突に感じられた.折角いい感じにえぐかったのに,ちょっと勿体無かったかも.好みを別にすれば出来はいちばんいい短編かもしれない.糸引きそうなラストは (;´д`)