陸凡鳥 『七歳美郁と虚構の王III』 (ガガガ文庫)

七歳美郁と虚構の王 3 (3) (ガガガ文庫 く 1-4)

七歳美郁と虚構の王 3 (3) (ガガガ文庫 く 1-4)

世界最強の殺し屋と呼ばれる外木場外郎.《拡大人的破壊》の真の実行者九重白雪.動き出す二人に翻弄される七歳美郁と今近衛久遠の運命はいかに.
「日夜必殺剣について考察を続ける」作者が贈る「コズミック・エンターテイメント」こと本作も三冊目.時系列上 2 巻の直後にあたる続編でページの大半はバトルに費やされる.もっともらしい名前の必殺技や超理論(……理論?)が飛び交うバトルはテンポは微妙なのだけど,出し惜しみされることなくポンポン飛び出すアイデア(≒思いつき)の羅列は読んでいくうちに妙に楽しい気分になる.なんというか,刹那的でオトコノコ的なアイデアのポトラッチを見ているような感覚っつうのかな.私の経験上,こういうストーリーは衒学趣味が付きまとうことが多いと思っているのだけども,この作品は衒学とはかなり遠い位置にいるので素直な気持ちで楽しめるのかもしれない.まああれだ,細けぇこたぁいいんだよ! の理念を忘れずに読むのが読者に求められる姿勢ではないだろうか.あとがき読んだ限りじゃ作者さんも開き直ってやりたいようにやってるみたいだし,ぜひ突っ走っていただきたい.私も行けるとこまでついて行きますともさ.