- 作者: 神林長平
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1987/07
- メディア: 文庫
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SF の皮を被った現代の怪談.現代といっても 20 年前だけどな.地球まで届くほどの強烈な恨みを抱いて死にゆくルシアはお岩さん,ルシアを氷温保存したカプセルは殺生石かな.テレパスや月面都市など SF 的装飾が施されかなり賑やかな感はあるけどあくまで舞台と道具立てに留まっている印象で,話の芯にあるのはひとりの少女の恨みと悲しみ.恐怖と同時に無念や悲しさが先に立ち,不気味でありつつ綺麗な余韻の残るラストはまさに日本の怪談であり,それでいてきちんと現代的でもあった.