九岡望 『サムライ・オーヴァドライブ ―桜花の殺陣―』 (電撃文庫)

サムライ・オーヴァドライブ ―桜花の殺陣― (電撃文庫)

サムライ・オーヴァドライブ ―桜花の殺陣― (電撃文庫)

いつ抜いたのか、いつ斬ったのか――最後の納刀に、鍔鳴りが一つ。

刀の柄尻に提げられた鈴が「凛」と唄い、血と桜花と妖刀の夜を締めくくった。

記憶はそこで終わる。

刀を持つ者が力を持つ現代.刀剣管理機構・SEASに所属する刃走の少年,月叢方助は,10年前に自分の命を救った業物・善鬼国綱の持ち主を護衛するよう命じられる.刀の主である季風21代目,季風鳴は,年端もいかない気弱な少女であり,かつての命の恩人の娘であった.

抜刀術と魔剣が激突する.まるで2時間のアクション映画を一気に見たような読み味の,サイバーパンクチックなアクション小説.スピーディな展開とけれん味のあるテキスト,章ごとにさし挟まれるアクションシーンの配分がいかにもそれっぽい.そもそものタイトルや,刃走(=ブレードランナー)からして意識してるんだろうな.エンターテイメント小説の真髄がぎゅっと詰まった,一巻完結小説のお手本のような一冊でした.



モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)

モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)