遠藤浅蜊 『魔法少女育成計画』 (このライトノベルがすごい!文庫)

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

「もうやめよう。生き残るために誰かを傷つけるのだってわたしは嫌だった。でも、もう、そんな理由さえないじゃない。今、誰かを殺めたら、それはもう、魔法少女じゃない……ただの人殺しだよ」
「私は魔法少女じゃなくていい……ただの人殺しでかまわない」
開き直りではなかった。確固たる意思が言葉と瞳に込められていた。射竦められる思いがして、スノーホワイトは半歩足を退いた。
「でも、魔法少女にはなりたかった……あなたに憧れていた。スノーホワイト

Amazon CAPTCHA

ソーシャルゲーム魔法少女育成計画」をプレイする者は,何万分の一の確率で本物の魔法少女になれるという.港湾都市 N 市で過ごす 15 人の魔法少女たちは,都市伝説のような形で市民の噂になっていた.しかしある日,マスコットのファヴから通達が行われる.16 人に増えることになった魔法少女たちから,一週間にひとりずつ,八週間で八人に引退をしてもらうと.
魔法少女たちのバトルロワイヤルが始まる.「魔法少女」の「バトルロワイヤル」に,「ソーシャルゲーム」や「まとめサイト」といったアイテムを取り入れた物語は,非常に刹那的,かつ現代的でもある.しかし,恐ろしく趣味が悪い.様々なタイプの魔法少女が,あらゆる形で騙し合い,奪い合い,殺しあう.ただそれだけで,テーマがないのよな.読みはじめは「アンチ・マジカル」(感想)かと思ったけど,狩る側狩られる側を全員魔法少女に置き換えた『プレデターズ』といったほうが近い気がする.あるいは「魔法少女残酷物語」とでも言おうか.読みやすいし好きなひとはおそらくかなり好きなはずだけど,個人的には嫌悪感がかなり強かった.