吉田親司 『マザーズ・タワー』 (早川書房)

マザーズ・タワー (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

マザーズ・タワー (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

西暦 2038 年,スリランカとインドを結ぶ巨橋の橋塔ビルに本部を置く宗教法人マザーズ教団は難病の子どもたちの末期医療に従事していた.破滅が迫った人類を,そして慈母師こと教団代表の葵飛巫子の命を救うため,4 人の男たちが立ち上がる.
インド州軍の攻撃による教団本部の倒壊からはじまる,軌道エレベータの建造を巡る物語.初吉田親司架空戦記はぜんぜん分からないんだけど,ラノベ畑のひとがハード SF を書いたらこうなるんだろうなあ,という予想を外さない一冊.昔ながらのハリウッド映画のような濃ゆくていかつい男たちがひとりの少女のために戦う,という筋だけ見ればロマン溢れるお話も,漫画的なキャラ付けと定型的な行動でどうも存在感が薄く思える.というか行動原理の印象付けがかなり弱かった.そんなストーリーと,都合よく解釈される科学考証(自然科学/社会科学)とがともにどっちつかずで噛み合ってない.これでは中途半端,萌えられないし燃えられない.