夏緑 『腐った林檎と吸血鬼』 (HJ文庫)

腐った林檎と吸血鬼 (HJ文庫)

腐った林檎と吸血鬼 (HJ文庫)

平和に見えるその裏で,人心荒んで事件は起こる.犯罪大国現代日本,警察なんぞは頼りにならぬ.法で裁けぬ「腐った林檎」,闇に紛れて除いて裁く.彼女の名前は九結ラミカ,ゴスロリ衣装の吸血鬼(七七調あらすじ).
吸血鬼+ダークヒーロー+ボーイミーツガール.吸血鬼誕生からその後の人間社会との関わり,吸血鬼の体質その他をいちから描いていて理屈っぽいかなと思ったものの,読みやすく分かりやすいのはいいかな.駆逐対象の「腐った林檎」こと犯罪者たちは本能と我欲の塊で,倒すべき敵やらライバルやらといった,ヒーローと対になるにはほど遠いもの.理屈で動かず救いようがない犯罪者だからこそこのストーリーが動いているのは分かるんだけども,感情移入は出来ず殺したところでカタルシスも薄い.ラブコメ分が少ないのも不満.……とはいえこちらは「ぷいぷい!」と比較する私が間違っているのかもしれないけど.全体的に物足りなさが勝った.