天原聖海 『ファイナリスト/M』 (講談社BOX)

ファイナリスト/M (講談社BOX)

ファイナリスト/M (講談社BOX)

本物の"名探偵"を決定するテレビ番組企画 "D-I GRAND-PRIX",別名「最強頭脳決定戦」.優勝賞金は一千万円,参加者総数 1 万 5 千人.決勝まで勝ち残った 4 人は探偵貴公子,天才外科医,千里眼刑事,そして優勝して賞金を取ってこいと姉に命令され渋々参加した高校中退無職の二ノ宮鷹史.決勝戦は離島を舞台にした連続殺人劇の謎解きゲーム,その裏でもうひとつの連続殺人劇が幕を上げようとしていた.
第 3 回講談社BOX新人賞流水大賞優秀賞受賞作.「名探偵」とは何かについて語られる,探偵小説のための探偵小説といった風情.なによりもまず長い.700 ページとかなりの分量を誇る一冊なのだけど,悪い意味でボリュームを感じない.どことなく西尾維新に似た雰囲気もありつつ,なのにテキストや設定に外連味は薄く,それでいてテキストの情報密度も薄い.正直言って退屈極まりなかった.「名探偵」の定義や事件の真相など部分部分で見るべきところはあるんだけど,一冊でまとめてやったために全部が全部中途半端,繋がりが悪くなってしまっていると思うんだがどうかなあ.