早矢塚かつや 『文芸部発マイソロジー』 (一迅社文庫)

文芸部発マイソロジー (一迅社文庫)

文芸部発マイソロジー (一迅社文庫)

あるきっかけで文芸部から分かれて発足した第二文芸部だったが,部活動らしいことはとりたてて何もしていなかった.第二文芸部が出来て早二ヶ月,そろそろなにか部活らしいことをしないかとの提案に,部長の須弥伊緒が応える.「その、わたしたちで、神話を作りませんか?」
中二病患者が神々の世界を造るとどうなるか.作中でも触れられてるけど,私が連想したのは「のび太のパラレル西遊記」.ペンで書かれた世界が命を持つという設定は魅力的.神の意志を離れ,他者(神)の干渉を受けて変容していく世界にはそそられる.ただ,既存の神話から(意図的に)おいしい部分だけ引っ張ってきてつないでいるためかえらくとっちらかった印象を受けた.創世神話なんてまあとっちらかってて当然かもしれないけど,そこらは意識してのものなのかしら.もっと無茶やったら面白かったんじゃないかなーとも思ったけどそこは神ならぬヒトの子の限界なのかな,とも.