中村九郎 『アリフレロ キス・神話・Good by』 (スーパーダッシュ文庫)

俺たちは最初、ばらばらだった。
俺たちはお互いの顔も名前も知らなかった。
もちろんもつれた恋愛感情とかもなかった。
語り手である俺のことはさておき……。

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時の神αは遊戯の神βを殺すため,ビリヤードを呪い,手玉としてαキスを生み出した.触れたものをばらばらにする真っ白い怪物によりばらばらにされた三井川を救ったのは,バス・ケースの中で眠り続けていた黒向日葵だった.
ブレイクショットならぬαのローテーション・キス・ショットから始まる神話.ビリヤードを象り,順番に「落とされる」死のゲーム.左腕に降りてくる神話,神と〈ビップ〉と〈カタギ〉.それぞれがばらばらに配置されているようでいて,紙一重のバランスでまとまっている.ように思う.しっかりテーマどおりということなのだろうか…….語り,テキストも合わせて,どう言ったらいいのか未だに分からないのだけど,そうそう真似できるセンスではないよなーというのは分かる.バトルが始まると少し勢いが落ちる印象があるかな.しかし,このよく分からんセンスで世界観が作られていくのはすごく楽しい.