タオ・リン/山崎まどか訳 『イー・イー・イー』 (河出書房新社)

イー・イー・イー

イー・イー・イー

アンドリューは大学を出たあと地元のピザ屋でバイトをするフリーター.どこかへ行ってしまった女の子の思い出(妄想)に浸りながら,ネガティブな日々を熊やヘラジカやイルカたちとともに送っている.
1983 年生まれの作者が 23 歳の時に書いたデビュー作.タイトルにもなっている "Eeeee Eee Eeee" は作中でたびたび使われるイルカの鳴き声.帯曰く「ゼロ年代の青春小説!」,訳者曰く「文化系サブカル男子の小説」ということで,なるほど作者が日本人だったら小柳粒男とか佐藤友哉とかと並んでデビューしただろうなあ,という雰囲気がある.講談社BOX講談社ノベルスの新刊だと言われてもほぼ違和感がない.感性と雰囲気に寄った掴み所の少ない小説なので中身についてあんま語れるところはないのだけれど,私はわりと好きなほう.アメリカ本国でも賛否両論割れているらしい本作だけど,上述の固有名詞に引っかかるところがあったら手に取ってみるのもいいかもよ.