志瑞祐 『白銀の城姫』 (MF文庫J)

白銀の城姫 (MF文庫J し 4-4)

白銀の城姫 (MF文庫J し 4-4)

理想は──夢想ではない。
数理、物理、論理──この世を統べる〈理〉によって具現化された想念。
それが、理想。

白銀の城姫 (MF文庫J し 4-4) | 志瑞 祐, 上田 夢人 |本 | 通販 | Amazon

崇高な建造物にのみ宿ると語り継がれる伝説の存在〈城姫〉.城姫の加護を得た城や砦は難攻不落の要塞と化すと言い伝えられる世界.偉大な建築士の唯一の弟子リンツが兵に追われているところを助けたのは,自らの城を持たない〈放浪の城姫〉だった.
ドルイドさん」でデビューした作者の異世界ファンタジー.創りたい理想の建築物を造りあげる〈建奏術〉もさることながら,話の肝はやはり実在の建造物をモチーフに擬人化した〈城姫〉たちだよな.あの城とこの要塞で戦ったらどっちが強いんだろ,という実にオトコノコ好きするアイデアを,女の子の姿形のワンクッション(?)でふんわりくるむ.発想は単純かもしれないけど,〈放浪の城姫〉シャトレアをはじめとした女の子たちの描き方は非常に魅力的で,バトルのシーンでもその魅力はそれぞれしっかり反映されていた.生きた城そのものであり,騎士であり,女の子でもあるというシャトレアの,場面ごとに見せる姿と表情.さすが,女の子を描くのは手慣れている.まあその代わりなのか男連中は揃って情けない印象が強いんだけどね.ともあれ面白かったです.一巻としては上々の滑り出し,シャト子さんの今後の活躍に刮目したい所存であります.