あだ村むだら 『ゴほうし!』 (メガミ文庫)

ゴほうし! (メガミ文庫)

ゴほうし! (メガミ文庫)

「まさか貧乳に欲情しないんですか!? ご主人様は人として異常ですよ!?」
こんなに幼女趣味に理解のある幼女は初めてだ。

Amazon CAPTCHA

ある日のこと,ニートであるぼくの汚らしい部屋に幼女の姿をした喋るキノコが生えた.幼女キノコは一晩で 12 本に増殖した.全裸キノコ幼女は言う,自分(たち)は結婚相手を求め宇宙の遥か遠くの星からやってきたのだと.
メガミノベル大賞属性賞【菌】賞受賞作.どうせイロモノだろうなあとあまり期待せずに読み始めたら実際イロモノだったのだけどのっけからいい方向に裏切られた.なにせ冒頭のたった 60 ページに押しかけ女房(幼女),ヌルヌルドロドロのホラー,カニバリズム*1,巨大怪獣 vs. 巨大変身ヒーロー,叙述トリックがすべて詰め込まれているんだもの.この半端なくバカバカしいドライヴ感.後半はかなりごちゃついていたけど,一見してどうでもよさそうな小ネタを伏線にして,ちゃんと話をまとめているのは偉いと思う.
流行りのあれやこれやから美味しいところだけつまみ食いし,都合の悪い部分や描写が面倒くさそうな部分(きの子の傘を取ったあとはどうなってんの? とか)は考えずばっさり切り捨てる.というのを実践した,ライトノベルの良いところと悪いところがあわせて凝縮されたような作品だと思う.逆に言うとライトノベルじゃなければこんなええ加減な話は書けないと思うのですよ.誤解を恐れず言うならライトノベルの懐の深さを見せつけたっつーかなんつーか.キノコの話だけにかなり露骨な下ネタも多いし,嫌いなひとはとことん嫌う作品であることは間違いないけど,私は肯定的に受け止めたい.じっさい楽しかったですし.

*1:ではないかもしれない