伊瀬ネキセ 『封印少女と復讐者の運命式』 (ダッシュエックス文庫)

封印少女と復讐者の運命式 (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

封印少女と復讐者の運命式 (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

目覚めが快適だったことは一度もない。

いつだってそこから怒りと憎悪が始まる。

何年も何年も飽くことも慣れることもなく続いていた。

超巨大構造体〈エデン〉.破壊不能なこの迷宮の中で,いつからか人々は生まれ死んでいくようになっていた.己の復讐を果たすため,〈エデン〉の中をさすらっていた青年ノオトは,絶対に出会ってはいけないと伝えられる“封印少女”イドアリスに遭遇する.

第3回集英社ライトノベル新人賞優秀賞受賞.何者が造ったかもわからない,巨大構造物に封じ込められた文明の中で描かれる復讐者と復讐者の物語.舞台のスケールは意外と大きく,SFによくある題材でもある.後に「HELLO WORLD if」を書くことになるのもうなずける.

視点はあくまで登場人物たちにとどまったミクロなものではあるのだけど,「天使」を自称するぼんやりヒロインイドアリスを始めキャラクターは魅力的.緊張感の絶えないストーリーも悪くない.「HELLO WORLD if」がとても良かったので(積読から)手に取ったわけですが,期待通りでした.



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