- 作者: 三門鉄狼,白田太
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: 文庫
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「つまりこれからは、人間が生きるための考え方が一変するわけですな。これまで《薔薇の悪魔》の襲撃を恐れ、都市を護ることに専心するしかなかった人類が、奪われた大地をどう取り戻して行くかという、攻めに転じるわけです」
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いつかの時代,どこかの世界.人類は《薔薇の悪魔》に覆われた地上を捨て,各地方の浮遊する都市へと追いやられていた.《薔薇の悪魔》の頭脳であるローズ・クイーンを討伐隊が倒したことにより,復興の光の見えたマキアート王国は落ち着きを取り戻しつつあった.悪魔の脅威が弱まった今,問題となるのは人間のこと.討伐隊のメンバーであった「殺人鬼」にして「脱獄犯」,マリア・ザ・ブラッディの処遇について,だった.
友人の冤罪を証明すべく霧の北方都市で潜入捜査をする姫と騎士の活躍.異世界ファンタジー第二弾.都市が分断されたことによって生まれた文化・価値観・異能力の捉え方の相違が居場所をなくす者を生む.という大枠は面白いのだけど,盛り上がりにはちと欠けた.マリアが作中罪を犯しているようにはどうしても見えないことと,《薔薇の悪魔》の影響力が強すぎることが原因かなぁ.すべては諸悪の根源たる《薔薇の悪魔》に還元されてしまうので,結局のところ人間や社会に目を向けた話になっていない,ような気が今のところする.主人公であるところの単純バカ騎士ロックはじめキャラクターは魅力的だと思うので,今後どうなっていくか.じっとりと見つめております.