飛山裕一 『ファウストなう』 (このライトノベルがすごい!文庫)

ファウストなう (このライトノベルがすごい! 文庫)

ファウストなう (このライトノベルがすごい! 文庫)

「悪魔もね」
かがりは真剣な目をした。遠大な目標を目指す表情だ。
「次のステップに昇りたいの」
次のステップ? なんだろう。かがりは胸に握り拳を当てて宣言する。
「悪魔の革新」
「悪魔の革新、とは?」
「あんたが知っても仕方のないことよ」
「なんで?」
「あんた人間でしょ」

Amazon CAPTCHA

悪魔が来りて法螺を吹く,的な.『ファウスト』,『ネオ・ファウスト』に多大な影響を受けているという第3回このライトノベルがすごい!大賞・優秀賞受賞作.導入のテキスト,「悪魔の革新」や無気力主人公の無気力さの理由など,端々のパーツに時折すごいセンスを感じる.のだけど,全体で見るといまひとつ話が繋がっている感じがしないのよなあ.会話主体で露悪的なテキストも個人的にまったく受け付けず.昨日の『魔王討伐!俺、英雄…だったはずなのに!?』(感想)と同じで,あとひとつなにかが足りていないというか,踏み込みが足りない気がする.