- 作者: 遭川遭,河内和泉
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2010/04/22
- メディア: 単行本
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「ベル君、私はご存知の通り錬生術学者だよ?」
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さも当然と──それ以外に何があると、彼女は泰然と宣告した。
「人を幸せにできない学問って何だい」
《錬生人間》とは,《エクシル》と呼ばれる《精》を付与され,ひとの姿を象ってつくられる人工生命体である.蕩森ベルは,多くの錬生術学者が住み,教育研究施設の整った第四要塞都市に暮らす少年.そこにある日,ニトログリセリンの《エクシル》を持った《錬生人間》のロココが押しかけてきた.
第 6 回スクウェア・エニックス小説大賞入選のデビュー作.押しかけ女房錬金術系.錬生術や《エクシル》の理論といい,人間と《錬生人間》の関係といい,言葉や概念は既存の錬金術(やそれをテーマにした作品)の多くから持ってきているのだと思う(それは悪いことではない)のだけど,表面的な言葉をなぞっただけで,独自に踏み込んだと思われる部分がぜんぜん見当たらないのが辛い.各登場人物も,行動原理は比較的シンプルなのに,それを導き出すまでのプロセスが無駄に遠回りに感じてしまう.どこを取って見ても,全体的に二歩か三歩足りない感じだなぁ.